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就労継続支援B型事業所とは

就労継続支援B型事業所とは

2024.7.1

コラム

「就労継続支援B型」とは、障害や難病のある人が利用できる障害福祉サービスのひとつです。障害や年齢、体力などの理由から、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供しています。就労継続支援B型に通うと、働くために必要な知識や能力向上のための訓練を受けることができるほか、生産活動に対する対価として「工賃」を受け取ることができます。ここでは、就労継続支援B型の詳細について解説します。

就労継続支援B 型とは?

就労継続支援とは、障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスにおける福祉的就労(※)のうちのひとつです。就労継続支援には「A型」と「B型」の二種類があります。就労継続支援B 型は、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスです。働くために必要な知識やスキルを身につけられるよう訓練をしたり、支援を受けたりすることができます。
就労継続支援B 型事業所では「生産活動」を行い、その対価として「工賃」を受け取ることができます。生産活動の内容は事業所によって異なりますが、内職や農作業、部品加工などの軽作業が多く、同じ就労継続支援でもA型と比べてより細分化された作業を行う場合が多いです。

※福祉的就労とは、就労支援施設などで障害福祉サービスを受けながら働くことを指します。

就労継続支援A型との違いは?

就労継続支援A型とは、一般企業などで働くことが困難であるものの、一定の支援があれば雇用契約に基づいて働ける方を対象にしたサービスです。就労継続支援B型と同様に、障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスにおける福祉的就労です。
働くために必要なスキルを身につけたり、支援を受けたりできる点は就労継続支援B型と同じですが、大きな違いは「雇用契約を結ぶかどうか」という点です。就労継続支援A型の場合は事業所と雇用契約を結ぶため、最低賃金が保障されています。
就労継続支援B型は、障害福祉サービス受給者証が支給されており、希望する事業所に空きがあれば利用することができます。一方で、就労継続支援A型を利用するためには、上記に加えて書類選考や面接もあります。対象年齢は原則18歳以上65歳未満です。

就労継続支援B型の対象者はどんな人?

就労継続支援B型を利用できる対象者は、障害や難病のある方で、下記のいずれかに当てはまる方です。

  • 就労経験があり、年齢や体力の面で、一般企業に雇用されることが困難になった方
  • 50歳以上の方、または障害基礎年金1 級を受給している方
  • 就労移行支援事業者などによるアセスメントにより、就労面の課題が把握が行われていて、かつ就労継続支援B型事業所を利用するほうが適切だと判断された方

特別支援学校に通う学生が、卒業後すぐに就労継続支援B 型の利用を検討している場合には、在学中に就労移行支援事業者などによるアセスメントを受ける必要があります。
利用条件については、お住まいの自治体によって異なるため、自分が対象になるかどうかは相談窓口(障害福祉窓口など)に相談するようにしましょう。

就労継続支援B型の仕事内容

就労継続支援B型での仕事は「生産活動」と呼ばれます。生産活動の作業内容は事業所によって異なり、同じ就労継続支援でもA型と比べてより細分化された作業が多くあります。よくある例としては、以下のようなものがあります。

  • 袋詰めや値札付け
  • 簡単なパソコン入力作業
  • 製品の梱包作業
  • 発送作業
  • パンやお菓子などの製造
  • 農作業
  • ミシン作業や手工芸
  • 清掃業務など

就労継続支援B型における作業時間や日数について

事業所の方針や本人の希望により、勤務日数や1日あたりの作業時間は柔軟に調整することができます。

週あたりの勤務時間は「20時間」程度のところが多いと思われますが、事業所によっては「午前のみ」、「午後のみ」、「週1回、短時間の利用からでも可能」というところもあります。慣れてきてから徐々に勤務時間を増やすこともできるため、本人の意向に沿って事業所と相談することになります。

就労継続支援B型の工賃(給料)について

就労継続支援B型では、生産活動に対する対価として「工賃」が支払われます。雇用契約を結ばないため、賃金ではなく工賃と呼ばれており、就労継続支援A型のように最低賃金を保障されているわけではありません。

厚生労働省の調査によると、就労継続支援B型の令和4年度平均月額工賃は「17,031円」、時間給にすると「243円」となります。少なく感じるかもしれませんが、毎年上がっています。また「工賃」は生産活動で得た収入からしか支給できませんので、仕事内容においても支給額は変わると思われます。

就労継続支援B型の利用期間と利用料について

就労継続支援B型の利用期間

就労継続支援B 型には、利用期限や年齢制限は設けられていません。そのため、ゆっくりと時間をかけながら就労経験を積み、訓練を重ねることができます。

就労継続支援B型の利用料金について

就労継続支援B型での勤務は「福祉的就労」のため、働く場であるとともに、「障害福祉サービス」を受ける場でもあります。そのため、世帯所得(※)により、障害福祉サービスの利用料が発生する場合があります。

利用料は世帯所得に応じて月の上限額が定められており、これを「負担上限月額」と呼んでいます。利用したサービス量にかかわらず、上限額を超えた利用料が発生することはありません。

(※)世帯の範囲は、障害のある方とその配偶者です。

就労継続支援B型事業所の選び方

就労継続支援B 型事業所を探すときは、自分に合った事業所を選ぶことが大切です。そのために押さえておきたいポイントについてご紹介します。

作業内容

就労継続支援B型事業所によって、作業内容はさまざまです。パソコンを使う作業もあれば、お菓子作りや箱詰め作業、シール貼りのような事業所内で行う軽作業もあります。清掃業務や農作業のように外で体を動かすことが多いケースもあります。そのため、自分に合った作業内容か?無理なく続けることはできそうか?などを考えることが大切です。実際に事業所の利用を開始する前に、見学や体験ができる場合も多くあります。

事業所の支援方針や雰囲気など

一言で就労継続支援B 型といっても、事業所により支援方針や雰囲気が異なります。

例えば、より難易度の高い作業ができるようにスキルアップに重きを置いている事業所もあれば、心身共に無理なく働き続けることに重きを置いている事業所もあります。

サポート体制なども異なるため、「自分が就労継続支援B型に通う目的と合っているのか?」という視点で判断してみるといいでしょう。

また、事業所やスタッフの雰囲気もさまざまです。作業以外のレクレーションを多く取り入れており、明るく元気な雰囲気の事業所もあれば、黙々と落ち着いて作業を行う方針の事業所もあります。見学や体験時に確認してみるといいでしょう。

働き方や工賃(給料)の金額など

工賃は事業所により異なりますが、厚生労働省が公表した令和4 年度の全国平均工賃は「月17,031円」です。

先ほども書きましたが、事業所は「工賃」を生産活動で得た収入からしか出せませんので、作業内容によっては工賃が上がりにくい仕組みもあると思われます。

事業所までのアクセスについて

最後に、事業所までのアクセスも大切なポイントです。

作業内容や雰囲気を気に入っていても、あまりに遠すぎる事業所だと、自分で通うには体力的にも時間的にも負担が大きくなってしまいます。また、交通費などの金銭面での負担についても確認しておくことが大切です。

事業所によっては送迎があったり、自治体によっては、交通費の一部を助成してくれる場合もあるため、合わせて確認するようにしましょう

就労継続支援B型の利用手続きについて

1.就労継続支援B型事業所を探す

就労継続支援B型を探すには、インターネットを使って自分で調べる方法、お住いの地区町村の障害福祉窓口で紹介してもらう方法、地域の相談支援事業所と相談しながら探す方法があります。見学や体験を実施している事業所もあるので、もし気になる事業所を見つけた場合には、事前に問い合わせをしてみましょう。

また、就労継続支援B 型は利用できる人数(定員)が決まっているため、「定員に空きがない」などの理由で利用ができない場合もあります。見学や体験について問い合わせる際、空き状況についても確認しておくといいでしょう。

2.お住まいの自治体の障害福祉窓口などで手続きを行う

利用したい就労継続支援B型が決まったら、お住いの自治体の障害福祉窓口などで利用申請をします。利用申請をすると、担当者から現在の状況やサービス利用の意向について簡単な聞き取り調査があります。

利用を開始するためには「サービス等利用計画案」の提出が必要です。

サービス等利用計画案は専門の相談支援員に作成を依頼する場合が多いですが、依頼をしても利用者側に費用負担がかかることはありません。「セルフプラン」としてご自身やご家族で作成することができます。

3.受給者証(障害福祉サービス受給者証)が交付され、利用を開始する

必要書類を提出し、障害福祉サービスの利用が認められたら、自治体より「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」が発行されます。

受給者証が交付されると、就労継続支援B型の利用が開始できるようになります。

就労継続支援B型のまとめ

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに、無理のないペースで働くことのできる障害福祉サービスです。

各事業所により、仕事内容や雰囲気などは異なるため、事前に見学や体験などを通じて働くイメージが持てるかどうかを確認してみることが大切です。

また、障害のある方が働くための支援には、就労継続支援B型に加えて、「就労継続支援A型」「就労移行支援」などさまざまなサービスがあります。それぞれ目的が異なるため、まずはどのような生活や働き方を目指したいかを整理した上で、自分にあったサービスを考えていきましょう。